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インターネット・トリビア 通信の自由化 40周年

IIJ.news Vol.188 June 2025

執筆者プロフィール

IIJ 広報部 技術統括部長

堂前 清隆

IIJの技術広報担当として、技術Blogの執筆・YouTube動画の作成・講演活動などを行っています。これまでWebサイト・ケータイサイトの開発、コンテナ型データセンターの研究、スマホ・モバイル技術の調査などをやってきました。ネットワークやセキュリティを含め、インターネット全般の話題を取り扱っています。

日本では電話やインターネットなど、さまざまな通信サービスが利用されていますが、これらは民間企業が事業として提供しています。こうした事業を行なう会社を、法律上「電気通信事業者」と言います。

現在、日本には2万5000を超える電気通信事業者が存在しますが、電気通信事業者の歴史は意外と浅く、1985年4月に施行された「電気通信事業法」によって誕生しました。それから40年で、日本の電気通信事業は飛躍的な発展を遂げました。

もちろん電気を使って音声を伝える「電話」や、より原始的な電気通信である「電信」は、それ以前から使われていました。日本における最初の電気通信は1869(明治2)年に始まりました。これは明治政府による官営の事業であり、これ以降、第二次世界大戦後まで、電話や電信は国と国が設立した特別な企業体(電電公社、国際電電)が独占的に提供してきました。電気通信が民間に開放されたのは1985年で、この出来事を「通信の自由化」と呼んでいます。

通信の自由化により、DDI(第二電電)、日本テレコム、日本高速通信といった会社が通信事業に参入しました。これらの会社は「新電電」「NCC(New Common Carrier)」と呼ばれます。NCC、電電公社を民営化したNTT(日本電信電話)、そして続々と参入した数多くの企業が、今日に至る日本の「電気通信業界」を形作ることとなりました。

電気通信事業者というと、各地に建物(局舎)を有し、光ファイバや電線などの通信回線を張り巡らせているイメージを持たれるかもしれません。そういった「電気通信回線設備」を設置することも電気通信事業の一部ではありますが、他の電気通信事業者の設備を利用して電気通信事業を営むことも可能です。ちなみに、1985年の制度開始時には、電気通信回線設備を保有する事業者を「第一種電気通信事業者」と呼び、それ以外の事業者は「第二種電気通信事業者」として区別していました。ですが、2004年4月の制度改正にともない、この分類はなくなり、現在は事業規模に応じて、総務省による審査がある「登録電気通信事業者」と、それ以外の「届出電気通信事業者」に分かれています。

ところで、今では多くの会社や個人がインターネットを利用して、ネットサービスを開発・提供していますが、意外なところで電気通信事業者の登録・届出が必要になる場合があります。

例えば、ネットサービスを提供する画面に広告やアフィリエイトのリンクを掲載し、利益を得ようとすると、「電気通信事業を営む者」として、電気通信事業法の規律の対象(法律の規制を受ける)ことがあります。この場合でも、直ちに届出や登録が必要になるわけではありませんが、そのサービスに会員登録機能を設け、会員間でのダイレクトメッセージの機能を付けると、「他人の通信を媒介している」とされ、電気通信事業者として登録・届出が必要になる場合があります。また、このような規定は企業だけでなく、個人にも適用されることも注意が必要です。

どのようなパターンで電気通信事業法の規律対象となるのか、登録・届出が必要なのかについては、電気通信事業を主管する総務省のWEBサイトに「電気通信事業者参入マニュアル[追補版]」「電気通信事業参入マニュアル(追補版)ガイドブック」という資料が掲載されており、詳しく解説されています。

こうした資料が用意されているのは、1985年の「通信の自由化」の趣旨を踏まえて、多くの人・企業が電気通信事業に参入できるようにするための環境作りの一環と考えられます。新しい事業者の参入により、日本の電気通信がますます発展することを期待しています。


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