IIJグループ、ローカル5Gおよび60GHz無線を東京・春・音楽祭2025の運営に活用し、有効性を確認

ライブストリーミング配信用の公演映像、音声のアップロードやQRコードチケットの管理に活用

2025年5月19日
株式会社インターネットイニシアティブ
株式会社IIJエンジニアリング

株式会社インターネットイニシアティブ（IIJ）および株式会社IIJエンジニアリング（IIJ-EG）は、本年3月から4月にかけて開催された国内最大級のクラシック音楽の祭典「東京・春・音楽祭2025（以下、東京春祭）」において、東京文化会館やその周辺にローカル5Gおよび60GHz無線を使ってネットワークを構築し、ライブストリーミング配信用の公演映像・音声のアップロードやQRコードチケットの管理などの音楽祭運営に活用して、その有効性を確認いたしました。
IIJグループは東京春祭の協賛パートナーとして、ライブストリーミング配信やチケット販売サイトのシステム運営などを支援しております。今回の取り組みは、次年度以降の音楽祭運営での本格採用を見据えた実用テストとして実施されました。

1. ローカル5Gを活用して、東京春祭運営用に専用ネットワークを構築

ハイテクインター株式会社の協力のもと、メイン会場である東京文化会館内に独自にローカル5Gネットワークを構築しました。大ホール内で映像を無線伝送するネットワークやQRコードチケット読込み端末の接続等に利用し、複数の業務用途において実用レベルであることを確認いたしました。

実用テストの背景と概要

東京春祭は、上野公園にある東京文化会館を中心に、国立科学博物館や東京都美術館など各文化施設を会場に、毎年3月から4月にかけて開催されるクラシック音楽祭です。例年、その期間は上野公園の桜が見頃となる時期で多くの花見客で混雑するうえ、昨今ではインバウンドの増加もあり、音楽祭会場近辺では携帯キャリア網が輻輳することがしばしばあります。また、東京文化会館内は公演中に携帯電話抑止装置が作動するため館内で携帯キャリア網を利用できないといった制限があり、運営スタッフ向けに独自無線ネットワークの整備が求められていました。
そこで今回は文化会館にある従来のWi-Fiネットワークに加えて、電波干渉の無い安定した専用ネットワークとしてローカル5Gネットワークを構築し、公演の運営に利用しました。

主な利用用途

来場者のQRコードチケットの管理（QRコード読み込み、チケット確認）
配信用の公演のカメラ映像・音声を30Mbpsにてアップロード　など

現場の様子

ローカル5G設備

RU（Radio Unit/アンテナ）

基地局装置

GPSアンテナ

東京文化会館大ホールの映像伝送設備（4K30p 30Mbpsにてカメラ映像を伝送）

カメラとルータ（1階客席後方）

アンテナ（ステージ上手照明室）

QRコードチケット管理

チケット読み込み1

チケット読み込み2

iPhone SE3と専用アプリを用いてQRコードチケットを読み込み、確認

各社の役割

IIJグループ：免許申請、基地局工事、ネットワーク全体構築
ハイテクインター：機材提供、技術支援

2. 60GHz無線を活用し、回線が敷設できない施設でのネットワークを構築

実用テストの背景と概要

東京春祭の公演会場の一つである国立西洋美術館は、世界文化遺産に登録されており、文化財や建物保護の観点から配線工事に制限があり、有線ネットワークの構築が非常に困難でした。携帯キャリア網も混雑することから、代替手段として、東京文化会館との間で60GHz帯無線接続を確立し、コンサート配信に活用するための映像伝送の実用テストを行いました。
60GHz帯無線技術は、高速通信が可能で、電波干渉が少なく、免許不要で使用できるといった利点があります。一方で障害物の影響を受けやすく、視認できる範囲内に無線設備を配置する必要があるなど、非常に精密な設計が求められます。今回の実用テストではIIJグループがこれまで培ったネットワーク構築の知見を活かして安定した映像伝送に成功し、60GHz帯無線の有効性を確認いたしました。