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DXを企業文化として根づかせるための条件を
65社/約3100名の人材・組織データから読み解いた調査分析レポートを公開
2025年8月18日
株式会社インターネットイニシアティブ
当社は、企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進における人材・組織の実態と成功要因を調査分析したレポート『“DXしなくなる企業”が生き残る ─ 日常にデジタルが根づく組織文化とは』を、本日公開いたしました。
本レポートは、IIJが提供する「IIJ DX人材アセスメントソリューション」の受検企業65社・約3,100名のデータをもとに、日本企業のデジタル活用の実態を分析したものです。受検データを、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「DX推進指標(※1)」に基づく成熟度レベルと相関分析することで、デジタル活用に成功している企業に共通する“人材と組織の特徴”を明らかにします。さらに受検企業へのヒアリング調査を通じて得られた知見を加えて、“DXしなくなる企業(※2)”になるための提言をまとめています。
IIJ DX人材アセスメントソリューションは、社員のDX適性を診断するためのWebテスト(ITテスト・DXテスト)を通じて、DX推進における人材の適正配置や育成を支援するソリューションです。IIJ独自開発のAIエンジンにより、「イノベーター分類」、「ITリテラシー」、「思考特性」といった3つの観点で社員のITスキルやDXマインドを分析し、DX推進に必要な人材の適性や最適な配置を可視化します。
本レポートでは、IIJ DX人材アセスメントソリューションの受検企業に対して、「DX推進指標」に基づいて成熟度レベルを推定(※3)しています。受検データと、成熟度レベルを相関分析したところ、デジタル活用における成熟度が高い企業の特徴は、以下の3点であることが明らかになりました。
相関係数について:
分析において二つの変数間にある関係の強弱を測る指標として表中で相関係数を表示する。相関係数は-1から+1までの値をとり、1に近いほど正の相関、-1に近いほど負の相関が強いことを意味する。0に近いほど、二つの変数間には相関がないと判断される。
企業内でのイノベーター分類値とDX成熟度の相関関係をみると、イノベーター分類値が変革寄り(1に近い)に近づくほど、成熟度レベルが高くなるという傾向を読み取ることができ、さらに役職者に絞ることによって、その傾向が顕著になった。
ITテストの企業内平均点と成熟度レベルの相関関係を見ると、全受検者の相関では、弱い正の相関を確認でき、役職者に絞った場合はより強い正の相関が見られる。全社のITリテラシーの高さはDXにおける成熟度に影響を与え得ることが読み取れ、特に役職者のリテラシーの引き上げが、成熟度レベルの更なる上昇に繋がると言える。
各思考特性観点の平均スコアとDX成熟度レベルに関してはほとんど相関がみられず、企業全体における思考特性の傾向自体は、DX成熟度に影響を与えないことがわかる。一方、企業内での思考特性スコアのばらつきに関しては、「自己主張・新奇性・創造的な問題解決」の観点で比較的有意な正の相関が見られた。つまり、これらの思考特性の強さにバラつきがある(多様なタイプが共存している)企業ほど、結果的にDX成熟度に好影響を与えていることが見て取れる。
補足:特に高い相関係数(+0.2以上)を示した結果部分を青マーカーで表示。例えば右図の「バラつき(標準偏差)との相関係数」表において、「自己主張」の思考特性は相対的に高い相関係数が示されており、「自己主張の強さにばらつきがある(多様なタイプが共存している)企業ほど、DX成熟度が高い傾向にある」と読み取ることができる。
これまでの分析結果のとおり、デジタル活用における成熟度が高い企業では、イノベーターやアーリーアダプターといったデジタル活用を推進する人材の適正配置(役職者への適切な配置)や育成(ITリテラシーの向上)が、組織として実行されています。これは、成熟度レベルを構成する「人材・組織」の観点に関して、企業が適切な取り組みを実施してきた結果であると読み取れますが、さらなるレベルアップには、「戦略・IT活用・意欲」にも目を向け、デジタル変革を持続的に実施できる企業文化の醸成が必要となります。
そこで、本レポートの分析対象となった企業のうち32社に対し、DXに対する「戦略・IT活用・意欲」の実態に関して、次の2つの要素からヒアリングを実施し、各要素を3段階で評価しました。
② | ||||
---|---|---|---|---|
〇:できている | △:部分的にできている | ×:できていない | ||
① | 〇:できている | 4.4 | 4.5 | - |
△:部分的にできている | 2.8 | 2.9 | 1.6 | |
×:できていない | - | 2 | 2.1 |
ヒアリング結果からは、企業によって「戦略の明確さ」や「デジタル活用への意欲」にばらつきがあることが確認され、特に経営層が戦略を明確に発信している企業ほど、現場の理解や共感が進み、成熟度レベルが高い傾向が見られました。一方で、戦略が曖昧であったり、意欲が限定的な企業では、現場との認識に差が生じており、取り組みが特定の部署や個人に留まり、全社的な展開に至らない傾向が見られました。これらの結果は、企業内における「意識ギャップ」が、DXの定着と成熟度向上において大きな障壁となっていることを示唆しています。
企業のデジタル活用における成熟度引き上げには、個人・組織に対する施策の展開だけではなく、デジタル変革を持続的に実施できる文化を醸成する必要があります。このような文化の醸成には、経営層~現場層間など、組織間に存在する“意識ギャップ”を可視化、把握し、そのギャップを埋めていくことが重要です。
IIJでは、今後も継続的にDXの課題をテーマにした調査分析を行い、企業のDX推進に資する知見を提供していきます。なお、“DXしなくなる企業”化に向けた文化醸成で重要と考えられる「意識ギャップ」を定量的に可視化・分析する新たな組織診断サービス「IIJデジタルカルチャーインサイトソリューション」を本日提供開始します。本ソリューションの詳細については以下の発表を参照ください。
レポート概要
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